大前提として「リズムゲーム」という、収益の上げづらいジャンルにおいて音ゲーマー向けの独立した難易度を作るという英断を評価するべきだと思う。
そもそも「リズムゲーム」というジャンルは課金要素が少ないため「楽曲を購入する」以外のコンテンツでは収益を上げづらく、それ自体の収益もそこまで高くないため運営が困難になりやすいジャンルである。
そこで既存のリズムゲームは魅力的なキャラクターやストーリーを追加し、「ガチャ」というシステムで収益を得ているものが一般的だ。
アプリの開発・運営には多額の資金が必要になる。なかには億を超えるものも少なくないだろう。そんな中で収益の見込みが薄い「リズムゲーム」ジャンルは、「ガチャ」システムを武器にストーリーやキャラクターに重きを置かざるを得なくなる。むしろそちらがメインで「リズムゲーム」部分がサブ要素のアプリの方が多いかもしれない。
ところがこのゲームはその「リズムゲーム」部分に力を入れている。
初心者もやりやすいノーツの仕様、判定の調整、内部判定の細さ、レーン幅の設定、ノーツ表示位置の調整、Bluetooth用の設定、そして音ゲーガチ勢向けの独立した難易度「OLIVER」の設立。
上記のものに課金要素はひとつも無い。つまりこれを作ったところで得られる収益は「0」なのだ。独立した難易度の「OLIVER」に至ってはやる必要すらない。クリアしてもゲーム内で得られるのは称号とコイン(ゲーム内通貨)のみだ。
収益の得られないものに力を入れた。そこから「リズムゲーム」に対するデベロッパの想い・熱量が伺える。ホントに音ゲーが好きなんだろうなぁ。
その想い通じてか音ゲーマーからは総じて高い評価を得ている。リズムゲームの顧客は自身の成長を楽しむプレイヤーが多いため、ゲームの継続プレイ率が高い。やっていくうちにストーリーやキャラクターに興味・愛着が湧き収益に繋がる可能性もある。ここの客層から高い評価を得られたのはリズムゲームとしてとても素晴らしい事ではないだろうか。すげぇよ。
なかにはもちろん「某ボカロ音ゲーのパクリだ!」と目くじらを立てる不遜な輩もいるが、そんな事を言い始めてしまったら「そちらこそ某バンド音ゲーのパクリでしょ」と、全く以て生産性の無い無意味なやり取りになりかねないので気にする必要は無い。それぞれみんな良いところがある。あなたはそのゲームが好き。私はこのゲームが好き。それでええやん。
アニメやゲーム内のストーリーも見たが普通におもしろい。
「演劇」という今時の若者が焦点をあまり当てることの無いジャンルに「センス」という一種の特殊能力のようなものを加える事でとても見応えのあるストーリーになっている。おおまかな話の筋は少しありきたりかもしれないが、それを覆す「センス」の存在が良いアクセントになっていて好き。ただ、欲を言うならシリウス以外の劇団の公演があまり細かくは描かれていなかったので、そこを深掘りしてくれる事に期待したい。
私はこのゲームをとても気に入ったので無理のない範囲で応援し続ける所存だ。すでに今月の課金額が家賃を越えてしまったが、おかげで楽しくプレイ出来ているので良しとしよう。